「オーディションどうだった?」  学校に行く途中、畑中さんに声をかけられたが、僕は「何も聞かないで…」と返すことしかできなかった。畑中さんから何かを聞いたのか、ながちゃんも松川さえもオーディションやあそびっとの話はして来なかった。ショックで食欲も無く、お稽古にも身は入らずでスターストームはしばらくお休みさせて貰うことにした。どうせ不合格なのだから、いっそのこと今、この瞬間、直ちに、僕の家に「佐野くんは不合格です」と電話を入れて欲しい気持ちだった。いつになってもマネージャーから連絡は来ない。早く楽に、ひとおもいにぶった斬ってくれ。  そんな日々を過ごしていたある日、ついにマネージャーから連絡が来た。不合格と分かっていながら過ごす日々は地獄だったけれど、それも今日までだ。明日からはまた心を入れ替えて、来年度のあそびっとオーディションの練習に励もう。1年もあればさすがに次こそは合格できるだろう。   「佐野くん、あそびっとの結果が出ました。」 「はい」 「心の準備はできているかな」 「はい」  もう分かっている。改めて言われなくてもあの日からずっとショックで死にたい気分なのだ。さあ早く僕を楽に 「おめでとう!あそびっと、正式加入です!」

え? え?え? 今、なんて言った?

「正式?加入…」 「合格だよ!」 「合格…」 「そう!佐野くんはあそびっとのオーディションに合格したんだよ!来年度の新メンバーだよ!」  僕が次のあそびっとスクールの新メンバーに?あの五十嵐しょうくんと同じ場所で?僕が?信じられなかった。夢かと思って何回も自分の頬を叩いてしまっていたので、そんな僕をマネージャーは必死に止めていた。 「や、やったー!!!」  しばらくして、やっとこれは夢ではなく現実だ、本当に来年度のあそびっとの新メンバーになったのだということを実感した僕は自分の体が吹き飛ぶのではないかというぐらいの大声で叫んだ。