勝手に閃き、勝手に消え、勝手に行動をした先生が帰ってきた。

「俺明日から旅に出るから。じゃ」 「えっ、どこに」  ツーツーツー…

数日前、先生はいきなりスマホを鳴らしてきた。が、会話の途中で通話を切られてしまった。これは日常茶飯事。もう慣れている。先生はいつもこうだ。これと決めたら一目散に飛びつく。僕は一方的に切られたスマートフォンを操作し、先生へメッセージを送る。  「せめてどこに行くのかだけ言って切ってください」  先生の返信は早い。

『ねこねこ村』

「は?」思わず声が出てしまった。どこなんだそれは。というか実在するのかそこは。検索しても出てこない。

「これさ〜買ったんだ!いいでしょ」  ねこねこ村とやらから帰ってきた先生はえらくご機嫌の様子で「ねこねこ村へ よーこそ!」と猫?のような絵と一緒に書かれたTシャツを着て僕に見せびらかしてきた。どうやらこのTシャツは僕へのお土産ではなく、ただ僕に自慢したかったらしい。 「いいですね」  僕は疲れている。土曜日だから先生はお休みかも知れないけど僕は明日も仕事がある。わけのわからない村のTシャツを自慢する為だけに人の家に来たこいつをさっさと追い返して眠りに就きたい。 「これはしょーくんへのお土産だよ」  そう言うと先生はTシャツにも描かれている猫?のようなゆるキャラのマスコットキーホルダー僕に寄越した。どうやらこのキャラクターはねこねこ村のキャラクターらしい(多分)というか先生の脳に人にお土産を買う文化があったのか…。意外だった。 「ありがとうございます。」 「リュックに付けときな〜」  なんで勝手に決めるんだよ。でも早く寝たいので僕は渋々と貰ったキーホルダーをリュックに付けた。